Wize Soundのコンポーザー、アレンジャーの矢川です。

今回は「真似」をすることの重要性と自分が心がけていることについてお話ししようかと思います。

「クリエイターとして何かを作っていくからには、自分にしか作れないものを作りたい!」

という気持ちもあるかもしれませんが、

「真似」というところからアプローチを考えるのも大事です。とても大事です。

なぜ真似が大事かというといくつかポイントがあります。

1つ、真似をすることにより引き出しを増やせる

真似をしないで何かを作る場合は、自分の中にあるやり方、自分の中にあるイメージだけで物を作っていくことにもなるため、

引き出しがあまり多くないころは特に同じようなものになりやすいです。

これは曲作りを始めてようやく慣れてきた段階の人にとくに顕著な現象ですね。

また、何か新しい要素を入れる、としても自分の中だけで新しいものを構築していくというのは難しい。

難しいだけなら頑張れば別にいいんですが、とにかくペースが遅くなりがちです。

例えば、

台を動かすためのパーツが必要、転がせるともっと楽。

となったら自分で改めて車輪を発明するというよりは、既存の車輪を持ってきて使ったほうがはやい。

みたいな状況があります。車輪の再発明と言われるものですね。例えの使い方があまりうまくない気はしますね!

結果として同じものになるならば、自分で手間暇を考えずとも真似して取り入れていくことでスムーズに実力を伸ばしていけると思います。

真似をしていくことで、自分になかった発想、アプローチもどんどん自分の曲作りに取り込んでいくことができます。

2つ、基礎力の養成につながる

色んな音楽などを真似したりして作っていくことで、そのジャンルにおける共通性や、基本的なアプローチについての理解を深めることができます。

1つ目で言ったポイントと近いですが、1つ目は幅広さに着目しているのに対し、こちらは共通性、深さに着目しています。

色んな曲、色んな音楽で共通するポイント。そこは基礎になりえます。

自分のオリジナリティを添加していく上でも基礎がはっきりしていることで、より安定感をもって聴きやすく、そして印象的に感じさせることもできるでしょう。

3つ、そもそも「○○っぽい曲」が求められている!

これはどちらかというと仕事で音楽を作る人向けの話かもしれませんが、基本的に依頼で音楽を作るときは

「○○みたいな」ということを求められることが多いです。

作ることを依頼される音楽には必ず役割があり、どのような雰囲気のものがいいかは依頼者はイメージを持っていますし、

それにより曲調もある程度は限定されていきます。

参考曲が挙げられている場合はそれに近いものを作る必要性があるときもあります。

そういう意味で真似するという経験になれていくことはそれ自体が結構実用性があります。

もちろん仕事の場合は参考曲そのままではいけませんが、雰囲気を似せつつ作る、というのは重要になってきます。

4つ、作るのが早くなる!

これがなんだかんだ一番大事な気もします。真似をすることでジャンルなどへの「型」の理解が深まり、作る際の明確な手順がイメージできるようになるため、

とにかく作るのが早くなります。

曲作りで一番時間が取られるのは悩む時間です。悩みが減ります。

イメージを明確化し、手順がはっきりすると作るのは目に見えて早くなります。

何かを作る上で重要になるのは

「どんな手順」でやれば「どんな結果」になるのかを理解し利用していくことです。

この組み合わせは多く知っていればいるほどいいです。

既存の曲を真似てみていくことで、「手順」と「結果」のストックをどんどん増やしていくことができるようになってきます。

それぞれの要素は分けて挙げていますが、重なり合うところも多いです。

要は真似をしていくことで、引き出しが増え、基礎への理解が深まり、「○○っぽい」曲を好きに作れるようになり、そして作るのが早くなります。

いいことづくしに聞こえますね。

真似とオリジナリティの話

最後に大事な真似とオリジナリティのお話です。

真似は良い!とにかく真似をしよう!

といわれても引っ掛かる人は多いと思います。なので、真似を重ねていくことがどうオリジナリティにつながるかも軽く説明をしていきたいと思います。

オリジナリティは基本的に組み合わせです。どういう状況にどういうものを組み合わせるか、というのが作品のオリジナリティを作ります。

絵に例えてみると、赤い色というのは誰がつかっても赤い色です。そこに基本的に差はないですが、他の色とどう組み合わせるか、などでオリジナリティが出てきます。

既存の組み合わせと“すべて”同じものを使う場合、そこにオリジナリティはありません。

しかし、

真似を積み重ねていくことで、自分の好きな部分の「共通性」やつながり方などがより多く理解できるようになっていくはずです。

また、単純にオリジナリティというものの自分の捉え方の問題かとも思いますが、作品の8割くらいは基本的に既存のものと”共通する”ものであると自分は思っています。

絵だったらキャラの骨格などを常識的なものから大きく変えることはあまりないでしょうし、音楽も和声の進行や編成などはある程度既存のものに寄せたものになると思います。

1から10までオリジナルなものは理解しづらく、一般ウケからは遠ざかったものになりやすいので、感覚的には2割程度にオリジナルな要素はとどめておく、というのがオリジナリティを映えさせるためにも重要だと自分は思います。

逆に言うと、“8割は普通でいい”のです!

そして、真似はこの8割の普通の部分を作るためにも、残り2割のオリジナリティの部分を作る上でも役に立ちます。

真似をしてみたら、既存の曲になかった組み合わせになるようにそこで得た引き出しを組み合わせてみましょう。

新たな何かが出来上がると思います。

自分もどんどん既存曲の良いところを真似しつつ、よりよい音楽を作っていきたいですね。

矢川信二/ Wize Sound